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ありがとうをいわせて (ロイ→リオン)


「なぁリオン、俺はお前の『かわりのないもの』になれた?」

一番になりたいなんて贅沢なことは思わなかった。
俺が一番を望むということはリオンの定義を覆すということで。つまり王子が一番だというリオンの存在理由を頭ごなしに否定することになりかねない。
だから、せめて

朦朧としてきた意識の中、まどろみに逆らってロイは考える。
青すぎる空の、降り注ぐ太陽の光が優しく自分を貫いた。眩しさに、ただでさえ血の足りなくなっている身体はたえられそうにない。

(かわりじゃなくて、俺を覚えていてくれるように願わせて。それが叶うならほかに何も望まない、望めないから)


「俺はお前のかわりに死ぬんじゃない。ましてやお前を庇って俺がこうなっているのだと考えるならそれは思い上がり以外の何物でもない」

離れたところにいるであろうシエルに届かないことを知りながら呟く。

(リオン。お前が好きだよ。だから俺は自己満足のために死ぬんだ)


こんな考え方が出来るようになる日がくるなんて、かつて路地で生き繋いでいたあの惨めな生活からは想像も出来なかった。
短い一生でも意味を持って、自分で選べた。お前は俺に生きる意味を教えてくれた。だからさいごに、



ありがとうをいわせて


(幻水5。ロイ→リオン。篭城ルート。タイトルはあなたにおくる20の言葉より。)

2006.05.04 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

託 (ユーラム)

「託されてくれますか?」

止め処なく溢れる血。
誰の目から見ても最期が近いことを決定付けるそれにユーラムは拳を握ることで表情に出すことを耐えた。
ユーラムの震えに気付いた兵士は「大丈夫ですよ」と掠れた声で告げる。
これから死に逝く者に心配をかけさすまいとユーラムは「私のことはいい。何を託されよう?」とあまり残された時間が長くないその兵士に口早に尋ねた。
その言葉に兵士は目を見張り「やはり貴方は変わられた」と何かを握った手を持ち上げる。
受け取ったそれは鈍く光るペンダントだった。
血に濡れたそれは青い石がついていてタリスマンの一種だろうと推測する。

「レインウォールの、紋章屋の娘に・・・」
「わかった」

同時に男から力が抜け、逝ったのだということを直感で察する。
ここは戦場で、戦がある以上ひとは死ぬ。
わかってはいるけれど、やるせなさが支配する。
特に劣勢な場合の、医療現場なんて悲惨としか言いようがない。
今も患者が床に入りきらないくらいに溢れている。

「ユーラム殿・・・」

遠慮がちに声をかけてきたボズにユーラムは肯いてその場を離れる。
この先は自分の範囲外。専門家に任せるしかない。
自分にできる最善のことを。自身に言い聞かせるようにユーラムは呟いた。



(一文字漢字題の97『託』。幻水5。ユーラム君。受けついだものの重さ)

2006.05.03 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

strive against fate (4主とテッド)


「運命に逆らったって無駄だ」

疲れ果てた顔をした少年は自分自身にいいきかせるみたいにぽつり、と呟いた。
その少年の右手に自分の左手を重ねる。
死神と罰は憐れむような慈しみ守るような波長で僅かにゆれる。

「いや、戦ってみるさ。最後まで諦めずに、」

左手の痛みを感じながらチハヤはわらう。

だってそうだろ?

「運命、なんて言葉に翻弄されるくらいなら、自分で道を切り開くよ」

少なくとも僕は。
だから神様なんて要らない。

にっこりと、チハヤは狂気染みた光を瞳に宿して微笑んだ。

(この戦いが終わったら、きっとこの目も見られなくなると、そう思った。)

2006.05.02 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

煙になって空に宿り (スノウとチハヤ)



死んだ人間は空へ行くんだよ、と言ったその言葉を思い出した。
そんなことあるわけがない。と心の中で呟いた。

「それって死んだ人間に未練があるだけだよ。未練があったところで死んだひとがかえってくるわけじゃないし」

答えるとスノウは困ったように微笑んだ。
そうだね、と言って。


「残された人は確約が欲しいんだよ」

その言葉の意味がわからず何も答えなかった。
スノウはきっと自分の答えなど最初から求めてはいないのだろうが、そのまま話し続けた。

「いつも傍にいてくれる、いつかそこに行ったらもう一度逢える。待っていてくれる、そういう確約。チハヤは欲しくならないか?」
「…そうだね」

曖昧に答えて空を見上げた。
スノウは、こんな辛気臭い話やめようか、と言って笑った。


今、目の前にあるのはかの人墓標。
そこには真新しい花が手向けられている。
それをぼんやりと眺めているうちに今は墓の中で静かに眠っているであろう彼との会話を思い出した。

「……空へ行けた?」

紅いバンダナを風にはためかせながらチハヤは眼を細めて呟いた。
あの空で自分を待っているのだろうか。
柔らかい笑顔で見守っているのだろうか。
もう一度、逢えるのだろうか。

未練だ、と自分を嘲笑する。

いつか、あの空へ自分も行くだろう。
そしてもう一度逢えたら、そのときは答えよう。
君が言ったことは正しかったよ。自分も確約が欲しくなった、と。
そのとき君はなんと言うだろう。

「やっぱり」

言って、やはり困ったように微笑むのだろうか。


空へと登る煙を眺めながらそんなことを考えていた。



(古。多分幻水4をクリアした直後くらいに書いたもの。出てきたので載せてみる。なんだかんだいってうちの4主はスノウが好きです。)

2006.04.26 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

静かな終わり (コルセリア→キリル)


「貴方じゃなきゃよかった、なんて。そんなこといわないわ。…ううん、言えないの間違いね」

「私は貴方に出会えて幸せだった。貴方はあのともに過ごしたながいようでみじかかった時間のなかで、私に一生懸命生きる意味と価値を教えてくれた、よ」

「たくさんの、かけがえのないものを与えてくれた」

「ねぇキリル、私幸せなのよ。今この瞬間も」

「だから、」

(泣かないで)

もう確認することもできないが、側に立っているであろうキリルに向けて笑みをかたどったコルセリアはベッドに横たわったまま、静かに瞳を閉じた。

「ありがとう」

果たしてその言葉が彼に届いたのかはひとり以外知る由もなく。



(ラプソディア。キリルとコルセリア。捏造。終わりの日に姿をみせた優しいひとは、)

2006.04.25 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

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