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距離 (ピオニーとディスト)

それが何ですか。

台詞は思ったよりも簡単に零れ落ちた。

牢の内側から放たれた重さを持たない言葉は震えてもいない。
無感情、のそれにピオニーは眉を顰めた。
そんなピオニーの姿を見て、再びディストは自嘲気味にわらう。

「今更情けをかけるつもりですか。馬鹿らしい。さっさと軍法会議にでもかけたらいいでしょう。私を」

戦犯の名を被るのはもう私くらいしかいませんし、と呟く。

「お前本当に」

そう思っているのかよ、続けようとした言葉をピオニーは飲み込んで、ただ責めるようにディストを見つめた。


昔からディストはピオニーが嫌いだった。
この目力も強さを含んだ言葉も、太陽のようなこの存在が。

すべてを容赦なく照らし出す。

「……えぇ」

ディストは確かにこの騒動の首謀者だろう。
しかしそれゆえ、フォミクリーに関してはジェイドと並ぶ。
レプリカ問題が山積みの今、彼の技術は殺すには惜しい、というのが国の本音だ。
議会だってみすみすディストを殺すわけにはいかないだろう。

「……ディスト、」
「―――私を、照らそうとしないでください」




格子越しのふたりは、こんなにも遠い。

(そのひかりがにあうのはわたしではないのだと、ずっととおいむかしにおもいしらされていたのだから。それでもばかみたいにそのひかりにこがれていたじぶんがいたのもまた事実。) 

2006.02.16 | | Comments(0) | Trackback(0) | TOA

願(イオン→アニス)

僕を欺くことで、僕を裏切ることで、貴方が幸せになれるなら、僕は君の行動を責めたりしない。
貴方の行く先が光ならば、幸せならば、僕はその遠ざかる背中に心からの笑顔でさよならを言って見せましょう。


「誰よりも、貴方のしあわせを願っています」

眠る少女の髪を梳く。
さらさらとした感触を確かめて、その額にそっと口付けた。



(短文中の短文。イオン様。知っていて、それでもこの小さな少女の幸せを願った。) 

2006.02.13 | | Comments(1) | Trackback(0) | TOA

無気力(ルーク→ガイ?)



ルークは窓枠に肘をついて、真昼の穏やかな日差しを浴びていた。
外の世界と違いバチカルの屋敷にはそんなに危険なものはない。
つまり四六時中気を張っている必要もなく、ついこの間まで旅に出ていたルークとしてはまだ少し間の抜けた気がしていた。

「……はぁ…」

口を開いても出てくるのは溜め息ばかり。
本日何十回目になるのかもう数える気も失せたミュウは、ただ心配気にルークに問い掛けた。

「ご主人様、何処かにいかないですの?散歩にミュウは行きたいですの!ご主人様出来たら着いて来て欲しいですの!」
「ん?あぁ…」


妙なテンションで散歩を提案するミュウに少し気後れしながらもルークは曖昧に頷いた。
外ばかり見ていた視線をミュウに向ける。
と、不安そうな瞳と視線がかち合った。
ミュウの大きな青の瞳にルークの姿が歪んで映る。
深い青に映ったルークの姿は健康というには少しばかりやつれていた。
ルークはそれをまじまじと見つめる。

「……ご主人様…」
「…散歩行く前に飯食うか?時間だろ?」

ミュウは顔を輝かせてこくりと首を縦に振る。
ルークが自分から部屋から出ようと持ち掛けるのはヴァンとの戦いを終え屋敷に戻ってきてから指折りのことで。

ミュウの心底嬉しそうな表情にルークはぎこちなく笑って、部屋のドアを開けた。



たったひとりが側にいないだけなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。




(ガイがグランコクマに帰った後。レプリカ編の前。それまで当たり前にいたひとがいない不安。)  

2006.02.05 | | Comments(0) | Trackback(0) | TOA

ひとつだけ願いが叶うなら



「?いきなりどうしたの?『ひとつだけ願い事が叶うなら何を望むか?』…そんなこと聞いてどうするの?それより明日に備えてもう休むべきだわ。え?にげないで答えて?逃げてなんかいないわ。失礼ね。私はただ、必要な休息を……わかったわ。そう…何を望むか、ね。一番無かったらと思うのはホドの崩壊かしら。私はまだ生まれていなかったけれど…それを防いだら、兄さんはこんな馬鹿なことをしなかったかもしれない。でも、そうしたら私は、ルーク達とも出会えていないわけでしょう?ガイが私の主人だったかもしれない。だから私は過去を悔やむことはしないわ。私の望みは…そうね。じゃあ明日決着がついたら教えてあげる。だからちゃんと、一緒に生き抜きましょう」







「はぁ?『ひとつだけ願いが叶うなら何を望むか?』…そんなもん聞いてどうすんだよ。ったく。…でも、そうだな…俺は、アクゼリュスの崩壊を防ぐ、だな。一番は。あれは俺が変わる一番の要因にはなったけど、それの為に1万もの人達を犠牲にした。俺のせいで。…あぁ、大丈夫だ。少し思い出しちまっただけだからな。…だけど、前みたいにもう悲観的にはならない。俺は…悲劇の主役を演じるんじゃなくて…今できることを、精一杯やりたい。レプリカだって生きていていいんだと、胸張れるように、なりたいからな」







「ひとつだけ願いが叶うなら何を望むか?ですって?少し前の私ならばルークが誘拐される前に戻して、と言うでしょうけれど…今は、そうですわね。明日の戦いが終わっても、皆が無事に生き延びることを願いますわ。とても険しい戦いは避けられないとわかってはいますの。だけど、だからこそ、皆生き延びなければならないのですわ。私も、ルークも、…アッシュも皆…ひとりも欠けてはならないのです。それに、私にはまだ沢山やらねばならないことがありますもの。絶対、オールドランドを守りぬきますわ。キムラスカ王女として、…バダックの娘として、それを誇りとして、明日に挑みますわ」







「『ひとつだけ願い事が叶うなら何を望むか?』…そうだな。やっぱりホドの再建、とかな?…ははっ、嘘だよ。そんな顔するなって。確かにホドのことは忘れないし、許せもしないけど、あれがなかったら今の俺はないわけだしな…。俺達がこうして旅をすることも、ヴァンがエルドランドを…レプリカを使ってまで世界の再構築をするなんて考えたりもしなかっただろう。けど、そうしたら世界の人達はみんな譜石に縛られたままだったわけだ。何も知らず、気付かないままのうのうとくらしていたわけだろ?……悪いな。変な説教染みた話をしちまった。君にこんなこといっても仕方ないのにな。…それで、さっきの願い事の話なんだが、強いて言うのなら平穏が欲しいな。二度と、ホドと同じ惨事が起こらない、確約が欲しい。まぁ、すべては明日が終わってからだが」








「…『ひとつだけ願い事が叶うなら何を望むか?』えぇ、難しいよ~!アニスちゃんだって女の子だもん。美貌やスタイル抜群になりたいし、玉の輿で不自由ない生活したいし。あ、そういう意味ではお金かな。あったら困らないもんね。パパとかママがへんな借金作ってもすぐ返せるし。うん、私はお金が欲しい。………でも本当は違うんだぁ。本当はお金なんかじゃなくてそんな努力すれば手に入るものじゃなくて、私は…。まぁ、いいよ。今の所、望みは自分で叶える予定なのですから!アニスちゃん実力者ですから!」








「はい?何を聞きたいのかと思えば、『ひとつだけ願いが叶うなら何を望むか?』ですって?馬鹿馬鹿しい。思わず聞き返してしまったじゃないですか。まぁ…それはとても難しい質問ですね。特に私のように長く生きているものにとっては。振り向けば山のような後悔が積もってますから。…それにその質問は無意味ではないですか?もしも、なんて仮定は。…ええ。でも、そうですね。私は本当に願いが叶うなら迷わないのかもしれません。やり直せるなら、私は過去に戻ってあの頃の自分を殺します。迷わず、息の根を、しっかりと。…そうしたらルーク達は生まれない?もちろんそんなこと承知ですよ。それでも、それくらい、ジェイド・カーティスはジェイド・バルフォアを憎んでいる、というだけで」



(TOA。ひとつだけ願いが叶うなら。ところで聞いているのは誰でしょうね(笑))

2006.02.04 | | Comments(0) | Trackback(0) | TOA

生き残る(ルークとナタリア)



弓を構える。
ゆっくりと深呼吸をすると、背後からかすかな含み笑いが聞こえた。

「なんですの?」
「……緊張、してるか?」
「……貴方、馬鹿ですの?」

矢を一本、背負った矢筒から引き抜く。緊張してるのだろうか。
この状況に。
周り三百六十度を敵に取り囲まれている。
しかもその敵は、自分が愛する自国の兵だ。

「緊張より、怖いですわ。やはり」
「まぁ、な」

じりじりと、取り囲んでいる輪が狭まってくる。
反逆者、と自分達を見つめているのが解る。

「死ぬかしら」
「まさか」

後ろでルークが鼻で笑った気配がした。

「死なねぇよ。絶対」
「そう?」
「死ぬなよ。皆、死んじゃいけない。俺達にはやらなきゃならないことがあるんだから」
「…………わかりましたわ」

この場に似つかわしくない笑みが浮かぶ。
多分きっと、背中合わせの婚約者も同じような顔をしているのだろう。




(オープニングのあのシーン。ナタリアとルーク。生き残る。死んでたまるか。)

2006.02.03 | | Comments(0) | Trackback(0) | TOA

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