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託 (ユーラム)

「託されてくれますか?」

止め処なく溢れる血。
誰の目から見ても最期が近いことを決定付けるそれにユーラムは拳を握ることで表情に出すことを耐えた。
ユーラムの震えに気付いた兵士は「大丈夫ですよ」と掠れた声で告げる。
これから死に逝く者に心配をかけさすまいとユーラムは「私のことはいい。何を託されよう?」とあまり残された時間が長くないその兵士に口早に尋ねた。
その言葉に兵士は目を見張り「やはり貴方は変わられた」と何かを握った手を持ち上げる。
受け取ったそれは鈍く光るペンダントだった。
血に濡れたそれは青い石がついていてタリスマンの一種だろうと推測する。

「レインウォールの、紋章屋の娘に・・・」
「わかった」

同時に男から力が抜け、逝ったのだということを直感で察する。
ここは戦場で、戦がある以上ひとは死ぬ。
わかってはいるけれど、やるせなさが支配する。
特に劣勢な場合の、医療現場なんて悲惨としか言いようがない。
今も患者が床に入りきらないくらいに溢れている。

「ユーラム殿・・・」

遠慮がちに声をかけてきたボズにユーラムは肯いてその場を離れる。
この先は自分の範囲外。専門家に任せるしかない。
自分にできる最善のことを。自身に言い聞かせるようにユーラムは呟いた。



(一文字漢字題の97『託』。幻水5。ユーラム君。受けついだものの重さ)

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2006.05.03 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

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