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無題 (カイルとオロク)


泣き喚く女が立ち去って対照的に黙り込む女が残された。

女はただ男の前に立ち尽くす。
何も言わない男を責め立てるような目で睨みつける女に、男は笑った。

「我慢はするもんじゃないよ」と。

直後ぱん、という乾いた音を残して、女は男をもう一度睨みつけると踵を返して足早に通路の奥へと消えた。
残された男は最初に立ち去った女の落としていったスカーフを拾いあげるとずるずるとその場に座り込んだ。
白い頬には見事な紅葉形が浮き上がっている。

「馬鹿か、お前は」

一部始終を眺めていた俺は、そういって男から有無を言わさずスカーフを奪い取ると、手近にあった水差しの冷えた水を浸して男の頬に当てた。
思ったより熱をもっていたそこに触れて、スカーフは温くなっていく。

(多数の女性と付き合っていたことがばれて)修羅場を終えたばかりの男は濡れたスカーフを頬に角度を変えて当てながら、同じ台詞を繰り返した。
「我慢はするもんじゃない」と。
どうみても馬鹿の強がりにしか聞こえない。
俺は男に向けて一度だけ大きくこれ見よがしに嘆息して、冷たい視線で見やる。
すると、男はつれないなぁと苦笑混じりに呟いた。

「俺はどっちも好きだったんだよ」
「尚更悪い」

ぴしゃり、一言で黙らせてその場を去ろうとすると上着の裾を掴まれた。
睨みつければ困ったような微笑みでもう少し一緒にいてよ、とせがまれる。

この男の青い瞳に俺は弱いのだと、

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2006.03.30 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

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