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なんだ笑えるじゃんか(ウルダとガヴァヤ)

「それで?一体どうするの。わたしを殺す?」

突然聞こえてきた物騒な言葉に、巡回をしていたガヴァヤは反射的に身を隠した。
時刻はおそらく日付が変わった頃、深夜。
澄んで張り詰めた湖の空気に、女性の凛とした声が響く。

「殺すの?」

繰り返す女性の声がガヴァヤには聞き覚えがあって、思わず壁の影からちらりと盗み見た。
見ると金髪の女性、エルフのウルダが壁に背を押し付けられる状態で男に追い詰められていた。
逃げ場をなくした彼女の首元にはナイフが鈍く光っている。

ガヴァヤは思わず仲介に入ろうとして踏みとどまる。
ウルダはああ見えても冷静に物事を判断できる女性だ。しかも人間にとやかく言われることを嫌う。
少し様子を見てから行動に移ろう、とガヴァヤはいつでも飛び出せる体勢でやりとりを覗き見る。

「貴方のその行動はとても愚かだわ。愛を異族に向けることも、力ずくで手にいれようとするその行為も」
「黙れ!」
「私は貴方に興味なんてないわ。名前すら覚えていない」
「何だと!」

男の手に力が入り、ウルダの首に赤い筋を作る。
痛みにか、僅かにウルダは眉をしかめる。
それが気にいったのか男は更に力を込めようと、して。

「ちっ」

ガヴァヤよりも一瞬早く飛び出したものが、男のこめかみを掠め、ウルダの押さえ付けられた横に刺さった。
石壁の隙間に突き刺さった矢は独特なもので、エルフが使うものだった。

「イサト!」

それまで嫌気のさしていたウルダの表情が一瞬にして輝く。
愛しい相手を見る、その目。

「こんな夜更けになにをしている。斎主様の部屋の前で荒事をおこすとは」

ウルダの声を聞いてもイサトはふだんと変わることなく淡々と、冷静な声でふたりをたしなめる。
悪態をつく男と、何かいいたげなウルダをスルーしてイサトはガヴァヤが隠れているほうに視線を向けた。

「貴方も、覗き見とは随分な趣味ですね。ふたりを止めたら如何ですか?」
「………」

呼ばれる前に飛び出していたガヴァヤはイサトの冷ややかな視線を浴びてう、と行き詰まったがなんとか「悪い、」と言葉を口にする。

「まぁいいでしょう。貴方も、相手の気持ちも考えずに自分の理想をおしつけることは問題です」

男の手を後ろ手に回し、動きを封じる。誰にも四の五の言わせずにイサトは男を半ば引きずるように連れ「王子か軍師殿か…ここの有力者にこの男の処分は任せましょう」その場を去っていった。
残されたのは憤然とした感情を表立つウルダと気まずそうな表情のガヴァヤ。

「あのよ、ねーちゃん…」

しどろもどろに口をひらくガヴァヤを一睨みしてウルダは息をついた。

「…知ってたわ。貴方がその影で見てたこと」


「でもいいの。手を出してくれなかったのはむしろ感謝するわ」とウルダはイサトが消えた道を視線で追い、その場を去ろうとする。

「じゃあね」
「あ、おい」
「まだ何かあるの?」

ウルダは訝しげにガヴァヤをねめつける。その瞳は明らかに不審に満ちていた。

「あ、いや」

取り出したハンカチをウルダの首に当てる。
傷を塞いでいなかったウルダの首元は血が微量ながらも滴っていて。

「一応医務室いったほうがいいぜ?」
「こんなもの掠り傷だわ」
「じゃなきゃ紋章で癒すとか」
「貴方の肌じゃないし、自由にさせてもらうわ」
「そりゃあそうだけど」

せっかく綺麗な肌してんだから大事にしろよ、とガヴァヤが口の中でもごもご言うと、ウルダは一度だけ大きく目を見開いて、微笑した。
けして人間の前でみせることのないウルダの表情にガヴァヤは反則だと思いながらも見惚れてしまった。

「分かったわ。あとでシルヴァだったかしら、医者のところにいく」

それでいいでしょ?とウルダは身を翻す。
ガヴァヤはそのプライドの高いエルフの女性の姿が見えなくなっても暫く立ち尽くしていた。


(幻水5。ガヴァヤとウルダとイサトさん。突発ネタのひとつ。タイトルはお題をお借りしました。)

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2006.04.23 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

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