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饅頭 (幻水4)


「珍しいね。ふたりなんて。ハーヴェイは?」

饅頭を頬張りながら歩いて来たチハヤ様は巨大な紙袋(中身はすべて饅頭らしい)を抱え直しながら当然のように俺とヘルムートの間に座った。
チハヤ様の奇行に慣れていないヘルムートは木で出来た長椅子のぎりぎりまでチハヤ様から離れた。引きつった顔に精一杯の笑みをはりつける。
その態度にもチハヤ様は気を悪くする様子もない。
妙に高いテンションといい何かあったのだろうと俺はとりあえず嫌でも目に入る紙袋を指差してチハヤ様に問い掛けた。

「ハーヴェイはキカ様に呼ばれて船のほうに。ところでチハヤ様、それは?」
「ん?」

饅頭を食べることに没頭していたらしいチハヤ様は俺の問い掛けに僅かに時間をあけて、ごくんと喉をならしてから「あぁ」と続けた。

「ケヴィンさんとパムさんがサービスで新製品をくれたんだ」
「そうですか…おすすめは?」
「ん、これとか」

差し出された饅頭を受け取る。まだほかほかとあたたかいそれはてのひらの上で湯気を立てていた。

「何味ですか」
「わかんないけど沢山のスパイスが効いていていいかんじだよ」

食べて、とチハヤ様は俺に向けて言うと、今度はヘルムートに向き直って饅頭を差し出した。

「はい、ヘルムート」
「…結構です」
「食べて」
「いぇ…」
「何にでも従うんじゃなかったの?」
「…頂きます」
「うん」

おそるおそる饅頭を受け取り口に運ぶヘルムートにチハヤ様はやっと満足したように立ち上がった。

「どちらに?」
「ん?みんなに幸せのおすそわけ」
「そうですか」
「シグルト」
「はい?」
「ちゃんと見てやってね。ヘルムートを」

今は本人渋々といえ僕らは仲間なんだから。

チハヤ様は唇だけで言葉を象って続ける。
訓練したものでしか読み取れないそれを見、俺はチハヤ様の真意に気付いて静かに頷いた。


(幻水4。続く、かもしれないネタ。シグと4主とヘルムートさん。)

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2006.04.22 | | Comments(0) | Trackback(0) | 幻水

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