スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.-- | | スポンサー広告

変化 (アニス)

息が詰まる感覚を、このところよく覚えている。

ルーク達と行動するようになって変わったのは何だろう。
アニスはふと考えて、くだらないと苦笑した。

皆それぞれだろう。
ルークなんて初めて会った時とはもう別人みたいになった。
ティアやガイに言わせると良い傾向、らしい。
ガイは女性恐怖症がだいぶ良くなった、と思うしナタリアだってもう生意気なだけのお姫様じゃない(本人に聞かれたら怒られるじゃすまなさそうだが)。
大佐は心なしか優しくなった気がするしティアは表情豊かになった。
イオン様はより一層天然に成長した、と思う。

そこまで考えて、アニスは自分はどうだろう、と思いを巡らせ、立ち止まって俯いた。

足下には湿気を含んだ濃い土色が広がっている。

アニスがここにいるのは自らの意思ではじゃない。使命からだ。
あの、莫大な借金を肩代わりしてくれた大詠師モースの道具として、情報を流すため自分はここに居る。
いっそ皆が初めのころのルークみたいな性格だったら良かった。
そうしたら遠慮無く蔑むことができる。
否定して、嘲って、鈍底まで突き落とすことが出来るのに。
イオン様も、もっと傲慢な人なら良かった。
あんなに人がいいなんて、卑怯にもほどがある。


周りを騙すのは簡単で、それゆえに心苦しさはアニスを叙々に浸食していった。
そうして生まれた揺らぎに今は自分が呑まれそうになっている。
なんて滑稽な。


「アニス、どうしました?」

突然立ち止まったアニスを気遣うようにイオンの優しい声が響いた。
前を歩いていたルーク達が振り返る。

「あ、イオン様。あの、私少し疲れてしまって、出来たらでいいんですけど少しだけ、休んじゃ駄目ですか?」


視線は地面に向けたまま、絞り出すように言う。

自分が休憩を提案することは珍しいことで、近寄って来たナタリアに顔色が悪いと咎められた。
ジェイドが一度だけ溜め息をついて「ここで倒れられては迷惑ですからね」と近場にあった(日除けとしては申し分ない)大木を指差し「そこで休憩しましょう」と歩き出した。
皆それに倣い移動する。


各々が休憩を取り、体を休める。
殆ど間を空けずにルークの「腹減った」という呟きが漏れ、それ合図にティアが料理を始めた。
その匂いは空腹のアニスには堪らなく恋しかったけれど、対照的に胃は激しく拒否していた。

「……気持ち、悪い」

アニスは呟いて、気を紛らわせようと辺りを見渡す。
見ると、草むらに座ったイオンがルークやガイと何か話をしている。
ここからでは内容までは聞き取れない。
向かいの岩場に寄り掛かるジェイドの突き刺すような視線を躱しながらアニスは大木に背を預ける。
一度、ゆっくりと深呼吸して目を閉じた。



(今だけは、何も考えずにいたいと願う)



スポンサーサイト

2006.02.19 | | Comments(0) | Trackback(0) | TOA

コメント

コメントの投稿


秘密にする

«  | HOME |  »

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


Designed by nippori
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。