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朝 (骸とM・M)

目が覚めて。

私はふぅ、と息をつく。
仄かに薫るアロマは自分の借りているホテルの部屋のそれとは違う。シャツ一枚の格好でシーツにくるまり、ふかふかの枕に顔を埋める。
高級なベッドと布団はやはり肌触りからして違う、と暫くそれを堪能してから上体を起こした。隣で壁の方を向いて眠っている骸ちゃんの背中は珍しくリズム正しく動いていて。
私は寝息をたてて心地よさそうに眠る骸ちゃんを起こさないようにそっとベッドから足を下ろし、眠りを確かめてからスリッパを履いて立ち上がる。


西側にあるベランダに通じる窓には長いカーテンがかけられていて。少しだけ開けて外を覗けば空は白んできた位でまだ空にはうっすらと月が残っていて太陽の姿はない。
それを確かめて、しっかりとカーテンを閉めた。
テーブルに置かれたデジタル時計はAM4:12と表記されている。
失敗した、早く起き過ぎたわと小さく悪態をつくも今更眠りなおす気にもなれず、ソファにぼすりと座り込む。楽な姿勢を考えるとほぼ寝転がる様な格好になった。
それでもちっとも窮屈な感じのしないソファに私は満足して小さなライトに手を伸ばす。
引き寄せてサイドテーブルの上にライトを乗せれば丁度手元を照らすようになった。床に転がっていた自分の鞄からって昨日届いたカタログと電卓、ラインマーカーを取り出す。
カタログの丁寧で派手な(逆を言えばひどく無駄な)包装を無遠慮に破り床に投げ捨てた。
たいして格好良くもない男と化粧の厚い女がポーズをとっている表紙には無視をして、ぱらり、ページを捲ればそこにはいつも通り新作からヴィンテージ物のバッグやら洋服、宝石などがぎゅうぎゅうと所狭しと説明つきで詰まっている。次々とページを捲りどんどんめぼしいものにマーカーで印をつけていく。
一通り印をつけ終えると電卓を弾き計算をはじめる。前回の臨時収入を思い出し口の端をもちあげれば、ぱちり、部屋の電気がついて。
ベッドで眠っていたはずの骸ちゃんがコーヒーメーカーから黒い液体をカップに注ぎながらこちらを見てクフフ、と笑った。
私は雑誌と電卓から目を放し口を開く。

「なぁに、骸ちゃん」

いい夢でも見た?と冗談混じりに言えば
「まぁそんなところです」と骸ちゃんはまたクフフ、と笑った。

「ふぅん」

興味無さげに小さく呟いて雑誌に視線を戻す。
残りを計算をすると僅かに予算オーバーした。
電卓に並ぶ数字にうーん、と声をあげれば「そうだM・M、いい仕事があるんですよ」と骸ちゃんは安楽椅子に座り湯気の立ち上るカップに口をつけた。
私は骸ちゃんがテーブルに置いたもうひとつのカップを手に取りながら挑発的な笑みを浮かべて「なぁに?」と尋ねる。
その私の態度が気に入ったのか「引き受けるかどうか決めてから内容を教えます。もちろん礼金は弾みますよ」と満足そうに骸ちゃんは言った。



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2006.02.14 | | Comments(0) | Trackback(0) | REBORN

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